アカベコマイリ

HEAR NOTHING SEE NOTHING SAY NOTHING

Xperia よもやま話

Xperia を入手してから 2 週間が過ぎたのでそろそろ使用感などを書いておきたい。購入当初の興奮や新鮮味は薄れ今は日常品として馴染みはじめている。何か書くにはよいタイミングだろう。

ケータイとスマートフォン

いわゆるケータイが好きになれなかった。

高機能でも使い勝手が気に入らないことはよくあること。ときには Word よりメモ帳を選びたい。このような場合、PC ならば多様な代替アプリを検討できるがケータイは選択肢が少なすぎる。またアプリの入れ替えもひじょうに面倒。

よってバンドルアプリが駄目ならば次の買い換えまで、ずっと付き合わなければならない。長く連れ添ってアプリに慣れても次の機種にそれが載っている保証はないし引き継ぐこともできない。アプリと呼ばれていても考え方はハードウェアに近い。

私はこのような文化に馴染めなかった。

ケータイを使いこなしている友人に言わせるとアプリが違っても使い方は大差ないし、新しいの買ったらアプリも新しくなるのは当然でしょ?保守的すぎるんじゃない?とのこと。しかし今のケータイがそういう作りになっているだけで、これを積極的に支持できるわけではない。

ではスマートフォンはどうか?

子飼弾氏の「404 Blog Not Found:iPhoneがガラパゴスケータイより劣っていていい理由」に述べられているとおりアプリの入れ替えはほぼ自由。それどころか OS のアップグレードも積極的に行われる。PC の文化がそのまま通じるのだ。多様なアプリを選べるし好みのものが見つからないなら自作も可能。これぞ自然、まさしく望んだ世界。

というわけでスマートフォン購入を思い立った。

iPhone と Android

現時点の完成度やアプリ市場を考えたら iPhone を選んだほうがよいのだろうけど、アプリ開発に Mac 購入や Objective-C 学習が必要なのは敷居が高すぎる。TitaniumUnityMonoTouch のようなツールもあるけれど、Android の Eclipse + ADT (Java) と比べると学習コストは相当に高い。

なにより App Store が厳しすぎる。審査もライセンス料も、おいそれと参加できるものではない。確かに駄作とかやる気のない開発者を排除して一定の質を担保するためには仕方ないのだろう。

しかし私はこういう求道的な考え方に抵抗を覚える。露骨な悪意のあるものだけフィルタリングすればよく、それ以外は自然淘汰で十分ではないか?人を馬鹿にしたようなアプリでもネタとしての需要がある。幼稚な完成度でも人目に触れ、欠点を指摘されることで大きく成長することもある。質の維持よりも私はこういう、ゆるさを支持したい。

Android マーケットは基本的に無審査である。問題のあるアプリでもクレームがあるまでは削除されない。App Store と比較すると信じられないゆるさだ。あまりにゆるいためスパムで溢れているという指摘もあるのだが、実際にそれらを入れるユーザーはほとんどいないと思う。

Android マーケットにもランキングや評価、コメントの仕組みがあるし組織的にそれらの捏造を試みたとして、すぐに通報されるのが関の山ではないか。ユーザーは想像よりずっと賢い。もしここで上手く犯り遂げられるなら App Store でもペテンを免れるのは難しいのではないか。

また最近の Apple はグラビア アプリの一斉削除サード パーティ製の開発ツールを排除するような方針を打ち出すなど、どうにも厳しさの方向を誤っているように見える。一方 Android はマーケットに制限が入っても野良アプリを入れ放題なのでコストを掛けてまでアプリを排除するメリットがない。現状のゆるい路線が続いてゆくのだろう。

デザインやスペックの差ならば埋めようもあるが方針はなかなか変えられないものだ。私は玉石の石を取りたいこともあるし石を作ることもあるだろうから Android を選びたい。

なぜ Xperia を選んだのか?

漠然と Android ケータイが欲しかった。

国内ではすでに HT-03A が登場していたが去年、実物を見せてもらったところ画面が小さすぎると感じられた。トラックボールにはかなり惹かれたけれど試験投入的な色の強いモデルであり、次に出るものが一般ユーザー向けになるのだろうと予想していた。

2009 年末ごろソニエリから Android ケータイが登場するという話があり、それはエンターテイメント色の強いものになるとの噂だった。私はかつて CLIE の PEG-NR70V をマルチメディア プレイヤーとして使っていた。これには事務的な Palm を上手く料理するものだと感心させられたものだ。ならば Android はどうなるのだろう?と非常に期待していた。

そして 2010 年 1 月 21 日、ついに Xperia 発表。

噂どおり、エンタメ色を前面に打ち出した仕様。Mediascape、Timescape といった面白そうな独自アプリや高機能なデジカメなどワクワクする機能が盛りだくさん。しかしその中でも特に惹かれたのは 4 インチという大きな画面サイズだった。

ハードウェアはアップグレードできないので画面の大きさは非常に重要である。タッチパネルでは操作性にも関わる。少なくともアイコンは指の太さと同じぐらいに表示されてほしい。

HT-03A の 3.2 インチはスタイラス ペンが欲しくなる大きさだし秋葉ヨドバシで HTC Desire を触ってきたが 3.7 インチと 4 インチには想像以上の差を感じた。マルチ タッチと Android OS 2.1 は魅力的だけど、やはり 4 インチには代えがたい。次に買い換えるとしても 4 インチ以上のモデルを選ぶだろう。

Xperia の使用感

よい = Goo、よくない = Boo でまとめてみる。

Goo

  • 画面がとても広いので...
    • デスクトップに大きめのウィジェットを置いても余裕がある
    • メニューの誤操作がおきにくい
    • マップが見やすい、操作しやすい
    • YouTube が迫力満点
    • 縦書きビューワの表示が、ちょうど文庫サイズぐらいになる
    • Mind Map Memo が実用になる
    • ブラウザで拡大表示しなくても、それなりに読める
  • 画面の発色がよい
  • アプリをたくさん起動しても動作が軽快
  • 標準テーマのデザインがかっこいい
  • カメラがよくできてる
  • Timescape は意外に面白い
  • Mediascape からアルバムのジャケット画像を取得できる
  • Android のカスタマイズ性、システム設定すら置き換えられる
  • ハンズフリーのウォークマンとして役立つ
  • 青空プロパイダ & 縦書きビューワにより、読書ライフが充実

Boo

  • 充電が USB ポートでフタつきなので、とても面倒
  • USB ポートのフタの可動部分が、経年劣化でちぎれそうな材質
  • 標準のソフトウェアキーボードが、縦表示では押しにくい
  • バンドルアプリがアンインストールできない、せめて設定画面から消したい
  • メールアプリ多すぎ ...Gmail、Moxier、Mopera
  • Timescape のメールに Gmail が設定できない
  • 動画、音楽、通信を使うとバッテリが半日もたない

常用アプリ

Xperia で常用しているアプリの使用感をまとめておく。

青空プロパイダ & 縦書きビューワ

もっとも多く利用しているアプリ。最近の通勤電車では、これで小説を読むか英単語を学習して過ごすかになっている。

青空プロパイダ & 縦書きビューワ

これらのアプリはワンセットとなっていて、青空プロパイダが青空文庫上の小説検索とダウンロードを担当する。UI はシンプルで動作も軽快。ダウンロード形式はテキスト、XHTML の 2 種類があり縦書きビューワで読むのならテキストがよい。ダウンロードせず XHTML を直にオンラインで読むモードもある。その場合はブラウザで開かれる。

ダウンロードした小説は縦書きビューワで読む。縦書き、ルビ表示の他、豊富なオプションが用意されていて至れり尽くせり。またとても軽い。頻繁にバージョンアップされており勢いを感じる。表示モードがいくつか用意されているが私は「サイズ = 大、字間 = 狭め、配色 = 古紙色に黒文字」で読んでいる。IPA明朝というフォントをダウンロードするとさらに見やすくなる。

Simeji

Xperia を購入した日、帰りの電車で使い始めようとした。すでに Google カウントを持っていたのでそれを入力し、さぁインターネットだ!と意気込むもパスワード入力で誤操作が頻発。面倒になり家に着いてから諸設定をおこなった。

Xperia 標準のキーボードも様々な工夫を凝らしているけれど、縦表示ではとても入力できたものではない。私の指は細いほうだと思うのだけどまったく駄目だ。何か入力にコツがあるのだろうか?

Simeji

そして。以前からフリック入力がいい!という話を聞いていたから Android でもっともメジャーと思われる Simeji を試してみたところ、これが抜群に使いやすい。

タップしてから離すまで入力を確定しないので、まちがった文字が連続入力されることもない。入力候補をポップアップしておけば、それを見ながらスライドできる。フリックは初体験だったがすぐに慣れた。何が起きるかが絵として表示されるため直感的なのだ。

予想変換もこなれているし設定もわかりやすい。これを標準キーボードとしてバンドルしたほうがよいのではないか?たぶん、初スマートフォン・初タッチパネルな人は標準キーボードに抵抗を感じると思うので (私のことだ)。

Evernote

便利に使っているサービス Evernote の Android 版クライアント。Evernote はオンラインのサービスなのだが様々なプラットフォーム向けにクライアントアプリを提供している。デスクトップならフル機能、ブラウザにはクリップ用プラグイン。スマートフォン向けにはシンプルながらも音声記録など電話ならではの機能を載せたものを。

Evernote

このサービスは編集できる場所が増えるほど便利になってゆくので携帯するスマートフォンにはうってつけである。まじめな考察からふと思いついた妄想、くだらない冗談まで様々なものをメモしている。

Mind Map Memo

マインド マップを描くアプリ。名付け、枝を伸ばし、名付け、枝を振り分け...という行為を繰り返してゆくとツリー形式で自然に思考が図式化される。

Mind Map Memo

Evernote よりも原始的な思考をまとめるのに向いている。ぼんやりと使っていると思いもよらない方向へ考えがずれていったりするのが楽しい。

En2ch

Android 用 2ch ビューワの中でもっとも好み。完成度が高く軽い。だが Xperia では縦書きビューワと Twitter を眺めるか Evernote、Mind Map Memo で物書きをしているのであまり使っていない。何か大きなニュースや電車遅延があったときニュー速+ などを見るぐらいか。

En2ch

Places Directory

Google の提供しているタウン情報アプリ。現在地や指定した場所について近辺の飲食店、名所、コンビニ、ガソリンスタンドなどをリストアップしてくれる。

Places Directory

ユーザー レビューにも対応しているため店舗を選ぶ際の参考になる。また現在位置から目的のスポットまでの道のりを検索したり電話番号が公開されていればその場で電話できるなど、この手のアプリに必要と思われる機能はあらかた網羅されている。

vizBattery

バッテリの残容量を表示するウィジェット。画面右上のバッテリ表示はわかりにくいので導入。ウィジェットといってもサイズはアプリアイコンと同じなので場所を取らない。

以下のスクリーンショットでは、このウィジェットを分かりやすくするために周囲をぼかしてみた。

vizBattery

cVolume

色々な音量をまとめて管理するアプリ。音量の設定をプリセットとして持ちワン クリックで切り替えられる。

cVolume

Android の音量設定はたどりつくまでが面倒だし音量は思い立ったときすぐに変えたいもの。なのでこういうアプリはとても役立つ。

ASTRO FILE MANAGER

ファイル操作をおこなうアプリ。Explorer 的なものが欲しいな、ということで導入。こういう機能は標準で用意されていると思っていたのだけどファイルの削除や移動を自由におこなえると危険だからバンドルしないのだろうか?

ASTRO FILE MANAGER

普通に Android を利用する分には、あまり用のないアプリといえる。私の場合、主に不要となったアプリをアンインストールした後の残骸ファイルを片付けるのに使っている。

余談だが Android アプリは SD カードのルートにデータ フォルダを作るので、いつか競合などが起きやしないか不安になる。アプリに固有の UUID を割り当て $/AppData/{UUID}/ みたいに階層化したほうがよいと思うのだが。

Task Control

Windows でいうところのタスクマネージャのようなアプリ。

Android はマルチタスクなのだが、標準ではタスク管理アプリを用意していない。また、自動起動されるアプリやサービスがけっこうあるので、知らない間にバッテリを消耗させる原因になっていたりする。

Task Control

このアプリでは起動しているタスクの一覧を表示して不要なものを終了させられる。ワン クリックですべてを終了させたり、終了されると困るアプリを一覧から除外することもできる。

Xperia では Timescape の絡みか Moxier などがよく自動起動されるので、気が向いたときにこのアプリで不要タスクを一挙に閉じることにしている。

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