さくらのVPS を改めて使いはじめる 5 - MySQL をセットアップする
さくらのVPS(v3) 2GB プランへの環境構築メモ 5。今回は MySQL をセットアップする。
MySQL のインストール
はじめに MySQL がインストールされているか調べる。
$ rpm -qa mysql-server
ありません。というわけで、改めてインストールする。今回も Apache の時 と同様に yum
から入れる。
$ sudo yum install mysql-server
インストールしたらバージョン確認。
$ mysql --version
mysql Ver 14.14 Distrib 5.1.61, for redhat-linux-gnu (x86_64) using readline 5.1
yum
からだと 5.1.61 になるようだ。現在の最新は 5.5.23 なので系がひとつ古い。とはいえこの VPS で利用する予定の WordPress 3.3 と Redmine 1.4 は MySQL 5.0 以上なら動くのでよしとする。インストールできたので次は初期設定。
文字コードの設定
MySQL の文字コードを設定。ファイルは /etc/my.cnf
。ユーザー HOME の backup ディレクトリへバックアップを取ってから vi
で開く。
$ cd
$ cp /etc/my.cnf $HOME/backup
$ sudo vi /etc/my.cnf
開いたファイルを以下のように編集する。背景色をハイライトしている箇所が追記部分となる。
[mysqld]
datadir=/var/lib/mysql
socket=/var/lib/mysql/mysql.sock
user=mysql
# Disabling symbolic-links is recommended to prevent assorted security risks
symbolic-links=0
# character-set
default-character-set=utf8
skip-character-set-client-handshake
[mysqld_safe]
log-error=/var/log/mysqld.log
pid-file=/var/run/mysqld/mysqld.pid
[client]
default-character-set=utf8
[mysql]
default-character-set=utf8
[mysqldump]
default-character-set=utf8
character-set
直下で既定の文字コードを UTF-8、その直後でクライアントの文字コードを無視するように設定。[clinet]
以降は機能ごとの文字コード設定になる。
サービス登録と起動
サーバー OS 起動時に MySQL も自動起動されるようにする。まずは現状を確認。chkconfig
コマンドで MySQL の起動情報を表示する。
$ chkconfig --list mysqld
mysqld 0:off 1:off 2:off 3:off 4:off 5:off 6:off
すべて off になっているので、改めて設定したあと、再び起動情報を確認する。
$ sudo chkconfig mysqld on
$ chkconfig --list mysqld
mysqld 0:off 1:off 2:on 3:on 4:on 5:on 6:off
ランレベル 2 ~ 5 が on になったので OK。これで自動起動は有効になったが、まだ MySQL 自体を動かしていないので起動しておく。
$ sudo service mysqld start
MySQL データベースを初期化中: Installing MySQL system tables...
... 中略 ...
mysqld を起動中: [ OK ]
無事、動きだした。初期状態の MySQL は全権限をもつ root ユーザーにパスワードが設定されていないため非常に危険である。そのため対策しておく。
root ユーザーにパスワードを設定
MySQL のユーザーにパスワードを設定するには mysqladmin
コマンドを使用する。root ユーザーを対象とするなら以下のようにする。
$ sudo mysqladmin -u root password 'パスワード'
正しく設定されたことを確認するため root でログイン。コマンドは mysql -u root -p
となる。 -u でユーザー、-p でパスワードの使用を指定。パスワード入力を求められたら何も入力せずに Enter を押す。
$ mysql -u root -p
Enter password:
ERROR 1045 (28000): Access denied for user 'root'@'localhost' (using password: NO)
エラーになったのでパスワードが設定されていることがわかる。今度はパスワードを入力する。
$ mysql -u root -p
Enter password:
Welcome to the MySQL monitor. Commands end with ; or \g.
Your MySQL connection id is 3
Server version: 5.1.61 Source distribution
Copyright (c) 2000, 2011, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved.
Oracle is a registered trademark of Oracle Corporation and/or its
affiliates. Other names may be trademarks of their respective
owners.
Type 'help;' or '\h' for help. Type '\c' to clear the current input statement.
mysql>
パスワードが通り root ユーザーでログインできた。
プロンプトが mysql>
になっているときは MySQL のコマンドラインツールが起動している。この状態では通常のシェルコマンドを受け付けないので注意する。抜ける場合は quit
と入力して Enter キーを押すか Ctrl + D キーを押す。するとプロンプトに Bye と表示されてシェルに戻れる。
コマンドラインツールは専用コマンドと SQL の直接実行をサポートしている。操作については以下を参照のこと。
コマンドラインツールが苦手なら MySQL Workbench という GUI ツールも利用できる。なお本記事ではコマンドラインツールを利用する。GUI を使った説明は大変すぎるしスクリーンショットだらけになるので。
不要なユーザーとデータベースの削除
さきほど root ユーザーにパスワードを設定したが初期状態の MySQL には不要なユーザーやデータベースも含まれているのでこれらも消しておく。まずどのようなユーザーが存在するのか確認する。mysql
のコマンドラインツールを起動して user
テーブルの内容を表示。
$ mysql -u root -p mysql
mysql> SELECT user, password, host FROM user;
+------+------------------+-----------------------+
| user | password | host |
+------+------------------+-----------------------+
| root | XXXXXXXXXXXXXXXX | localhost |
| root | | wwwXXXXX.sakura.ne.jp |
| root | | 127.0.0.1 |
| | | localhost |
| | | wwwXXXXX.sakura.ne.jp |
+------+------------------+-----------------------+
5 rows in set (0.00 sec)
上記のうちパスワードを設定したユーザーは root@localhost
となる。他のユーザーは要らない。さらに内容を見るてゆくと root@localhost
以外の root が 2 名、匿名ユーザーが 2 名、登録されている。以下の SQL を発行してこれらのユーザーを消す。
mysql> DELETE FROM user WHERE user = '' OR ( user = 'root' AND host != 'localhost' );
Query OK, 4 rows affected (0.00 sec)
削除されたことを確認するため user
テーブルの内容を表示してみる。
mysql> SELECT user, password, host FROM user;
+------+-------------------------------------------+-----------+
| user | password | host |
+------+-------------------------------------------+-----------+
| root | XXXXXXXXXXXXXXXX | localhost |
+------+-------------------------------------------+-----------+
1 row in set (0.00 sec)
root@localhost
しかいないので成功。次は不要なデータベースを削除する。まずはデータベースを確認。
mysql> SHOW DATABASES;
+--------------------+
| Database |
+--------------------+
| information_schema |
| mysql |
| test |
+--------------------+
3 rows in set (0.00 sec)
3 つのデータベースがある。information_schema
と mysql
は必須で test
が不要。そのため以下のように消す。
mysql> DROP DATABASE test;
Query OK, 0 rows affected (0.00 sec)
消えたことを確認。
mysql> SHOW DATABASES;
+--------------------+
| Database |
+--------------------+
| information_schema |
| mysql |
+--------------------+
2 rows in set (0.00 sec)
ばっちり消えてる。さよなら test
。もう会うことはないだろう。
…今回はここまで。次回は 独自ドメインの取得と設定について書く。
Comments from WordPress
- maigoofy 2012-09-11T07:04:29Z
こんにちは。いつも参考にさせて頂いてます。勝手な質問で申し訳ないのですが、もし、Apacheのhttpd.confのいい設定方法を御存知でしたらお教えください。いろいろと調べたのですが、さっぱり検討がつきません。例えば、さくらのVPS 2GBと4GBではどうなるのでしょう。
以下はデフォルト
StartServers 8 MinSpareServers 5 MaxSpareServers 20 ServerLimit 256 MaxClients 256 MaxRequestsPerChild 4000
お時間がある時に教えて頂けたら感謝いたします。
maigoofy
- akabeko 2012-09-17T09:11:03Z
maigoofy さん、こんばんは。返答が遅くなってしまい、申し訳ありません。
設定値については、サーバーのスペックだけでなく、アクセス状況なども加味して決めるのが一般的です。デフォルト値で運用していて問題がなければ、そのままでよいともいえます。
私の場合、prefork.c はデフォルト、worker.c については StartServers が 4、MaxClients を 300 として残りはデフォルトとしています。これは単に、デフォルト値より気持ち多めとしているだけですが、思い切って増やしてもよいのかもしれません。
他にも KeepAlive 系をいじったかもしれませんが、デフォルト値が思い出せず。ただ、前述のように問題がない限りはこのまま運用する予定です。
Apach のチューニングにおいて、さまざまな設定が登場しますが、それらの現実的な意味について知りたい場合は以下の書籍が参考になると思います。
Amazon.co.jp: Apacheクックブック 第2版 ―Webサーバ管理者のためのレシピ集:
http://www.amazon.co.jp/dp/4873113814また、すこし前のものになりますが、以下のブログ記事もよいですね。
pound と apache をバランスよくチューニングする必要性について :: drk7jp
http://www.drk7.jp/MT/archives/001593.htmlApache2 - worker MPM のプロセス&スレッド数のチューニング :: drk7jp
http://www.drk7.jp/MT/archives/001594.html個人的には Apache と nginx ( リバースプロキシとして利用 ) を組み合わせてみるとか、Web アプリ側のキャッシュ機能 ( WordPress なら Super Chache など ) を利用するほうが、Apache 自体をいじるより即物的に効果を得られるのでは、と考えています。